メルセデス・ベンツA45 AMG 4MATIC(4WD/7AT)
男の器が試される 2013.11.17 試乗記 「AMG」の名を冠する初のスポーツコンパクト「メルセデス・ベンツA45 AMG 4MATIC」に試乗。控えめなデザインのボディーに隠された「ダンディズム」に触れた。虚飾はなし、中身で勝負
AMGが初めて手がけたコンパクト「メルセデス・ベンツA45 AMG 4MATIC」というモデルの性格をひとことで言い表すならば、ダンディーなクルマである。
そもそも、パッと見た瞬間にこれが640万円もするようには見えないところがダンディーだ。フロントのグリルやフェンダー、それにサイドスカートやエキゾーストの形状は、よ~く見るとこのモデル専用であるけれど、世の中のほとんどの人はクルマの細部をじっと見たりはしない。
例えば赤信号で偶然284万円の「メルセデス・ベンツA180」と隣り合わせたとして、交差点を渡る100人中97人はこの2台がまさか2倍以上も値段が違うとは思わないはずだ。
ちまたでは、車エビのフリをしたブラックタイガーが責められているけれど、A45 AMGはその逆だ。いや、コンパクトだから、バナメイエビのフリをした芝エビか。とにかく、過度にスゴそうに見せたり、はったりをかましたりしようとしない、中身で勝負という姿勢がダンディーだ。
外から見るとそれほどでもないのに、乗り込むとスペシャルな雰囲気がびんびん伝わってくるあたりも大人。
オプションのヘッドレスト一体型のAMGパフォーマンスシートに腰掛け、本革巻きのAMGスポーツステアリングに手のひらを添え、レースタイマー機能と320km/hスケールの速度計が備わるインストゥルメントパネルに目を向ければ、自然と運転に集中するようになる。ただ者じゃない。
残念ながらバナメイエビと芝エビの違いは、どれだけよくかんでも区別できる自信がないけれど、メルセデス・ベンツA45 AMG 4MATICが普通の「Aクラス」ではないことは、エンジンを始動した瞬間、だれにでもわかる。
重低音の効いた、ややこもり気味の排気音が車内を満たす。ボボボボボ……。これだけ迫力がある音は最近のクルマには珍しいと思ってウィンドウを下げると、さらににぎやかになる。
ノーマルのAクラスはコラムシフトだけれど、A45 AMGはセンターコンソールからシフトセレクターが生えている。Dレンジを選び、軽くアクセルペダルを踏み込むと、こもっていた音がヌケのいい音に変わった。
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