クルマに興味がない人でも楽しめる

うれしい知らせがある。あの3人が帰ってきた! いや、困ったことにと言うべきか。暴走トリオとして知られるジェレミー・クラークソン(写真中)、リチャード・ハモンド(同右)、ジェームズ・メイ(同左)が出演するのシーズン2が始まるのだ。彼らのことだから、どうせロクでもないことをやらかすに違いない。

は、大まかに言えば自動車番組ということになる。毎回クルマが登場するし、試乗インプレッションや性能テストを行っているからだ。ただ、新車を紹介するだけの退屈な構成ではなく、クルマに興味がない人でも楽しめる作りになっている。時には戦車や軍艦まで登場するし、試乗のステージとなるのは世界中の絶景スポットだ。業界用語を使っておざなりなクルマ批評を行ったりはしない。キャラの立った3人が、英国流の皮肉を交えてクロストークを繰り広げる。

2016年11月にパワーアップして復活

イギリスの地上波が放送していた自動車バラエティー番組で、彼らはこのスタイルを確立した。1977年に始まった真面目な自動車番組だったが、1988年にクラークソンが参加してからイカれた企画を連発して大人気となった。日本で話題になったのは、「トヨタ・ハイラックス」の耐久性をテストした回である。

わざとクラッシュさせてボコボコにした後に海に数時間沈め、キャンピングカーを真上から落とし、解体工事で使う鉄球をぶつける。火をつけて炎上させ、最後には高層ビルの屋上に置いてビルごと爆破。まったく原型をとどめていなかったが、基本工具のみで修理を施すとエンジンがかかり、自走でスタジオに現れた。常識はずれのテスト法だが、ハイラックスの評価がこれで高まったのだ。

ほかにも数々の伝説を残した番組だったが、2015年に3人はプロデューサーとともに降板してしまった。ちょっとしたトラブルがあったようである。世界中の自動車ファンが落胆したのは言うまでもない。でも、彼らは華麗なる復活を果たした。2016年11月に始まったが新しいステージだ。番組名は変わったものの、魂はそのまま受け継いでいる。むしろパワーアップしたと言っていい。

イギリス流の皮肉やジョークが魅力のひとつ

今度はテレビ放映ではなく、Amazon.co.jp(以下、Amazon)の映像コンテンツとして提供される。は全部で13話が製作され、日本でも字幕または吹き替え付きで見ることができるようになったのだ。大がかりなテントを設営し、観客を集めて番組を収録する。移動式なので、テントは世界各国に現れるのだ。エピソード1はクラークソンがイギリスから飛行機に乗り、到着した空港で受け取ったクルマに乗るところから始まった。

ハイウェイを走っているうちにハモンドとメイも加わる。カリフォルニアの砂漠を3台が並んで激走していると、いつの間にかまわりには数十台のクルマが集まってきた。マッスルカーやクラシックカー、自分で改造したらしい異形のクルマもあり、大パレードとなって3人を歓迎している。テントのまわりには数百人の観客が集まり、ステージではロックバンドのコンサート。戦闘機の編隊飛行まで現れるという、ド派手な登場となった。

テントは南アフリカのヨハネスブルグ、イギリスのウィットビー、オランダのロッテルダム、フィンランドのカクシラウッタネン、ドイツのシュトゥットガルト、スコットランドのネス湖、アラブ首長国連邦のドバイをまわり、地元の観客を集めて収録された。オープニングでは現地の人々や文化を紹介するトークが行われるのだが、クラークソンが偏見まみれの発言をしてブーイングが巻き起こることもある。イギリスらしい皮肉やジョークがこの番組の魅力でもあるのだ。

有名人をテントに招いて話を聞く!?

毎回テーマを決めてクルマを使った企画のビデオが流されるのだが、ほかにもいくつかのコーナーがある。「カンバセーション・ストリート」は3人のフリートーク。最新のクルマ事情について話しているうちに口論になり、お互いをののしり始めるのが常だ。クラークソンが中2レベルの下ネタを仕込んでくることも多く、いい年をした大人の会話とはとても思えない。

「セレブリティ・ブレインクラッシュ」は、有名人を招いて話を聞くコーナーだ。ただし、誰も会場にたどり着くことはできなかった。到着寸前に(なぜだかいつも)事故が発生し、命を落としてしまうのだ。ジェレミー・レナーは空から登場しようとしてパラシュートが開かず地上に激突し、シャーリーズ・セロンはライオンに食われた。ダニエル・リカルドはホバークラフトのプロペラに巻き込まれるという不運に見舞われる。悲惨な事故を見て、観客がなぜか毎回拍手喝采するのは不思議なことだ。

もちろん、真面目にクルマをテストするコーナーもある。番組が作った「エボラ・コース」にクルマを持ち込み、ラップタイムを計測するのだ。ドライバーは“アメリカン”ことNASCARドライバーのマイク・スキナーである。「V8未満のクルマは共産主義」という信念を持つ男なのでドイツ車や日本車のテストドライブをさせられるのは不本意なのだが、プロのスキルで正確な計測を行う。

月会費400円あるいは年会費3,900円

なにしろ金のかかったぜいたくな番組なのだ。テント設営だけでも大変な費用がかかるし、世界中で大規模なロケを行っている。おバカな企画も多いけれど、流麗なカメラワークとキレのある編集は超一流で、映像のクオリティーは素晴らしい。この番組を見るのは簡単だ。の会員になれば、追加料金なしで楽しめる。パソコンやスマホ、タブレットでも見られるし、Amazon Fire TV Stickを入手すればテレビの大画面でも鑑賞できる。

は、総合オンラインストアAmazonの会員サービス。入会すればが見放題になる。動画コンテンツは豊富だ。新旧の映画作品が見られるだけでなく、海外ドラマや放映中のテレビ番組見逃し配信もある。Amazonオリジナルの作品もたくさん用意されていて、その中に『グランド・ツアー』も含まれている。を使えば、100万曲以上が聴き放題というのもうれしい。

そもそものメリットは、書籍や家電などのさまざまな商品の無料お急ぎ便が使い放題であること。朝に注文すればその日のうちに届く商品もあるし、時間指定も無料だ。わずか3,900円の年会費、または400円の月会費を支払えば、これだけの特典がすべて使える。クルマ好きなら視聴のためだけに払っても惜しくない金額だ。

シーズン1を振り返る

は、12月8日に配信開始された。まずはを振り返ってみよう。が始まっても、は引き続き視聴することができる。

エピソード1の企画は「決定! 最速のハイブリッドハイパーカー」だった。3人ともハイブリッドカー嫌いで「トヨタ・プリウス」のことをいつも酷評しているのだが、取り上げたのはエコカーではない。「マクラーレンP1」「ポルシェ918スパイダー」「ラ フェラーリ」というハイブリッドスーパースポーツ3台をサーキットに持ち込み、ガチンコ対決を見せる。クラークソンが推すのはP1で、ハモンドが好きな918をこっぴどくけなす。クラークソンはポルシェ嫌いのアルファ・ロメオ好きというキャラで、これはお約束のやり取りである。

2人が口論しているところに、メイがローダーで現れる。これもお決まりのパターンで、3人のうちの2人がいがみ合っているともう1人が登場して三つ巴の争いになる。メイは「このクルマを見ればマクラーレンもポルシェも過去の遺産だ」と豪語するものだから、クラークソンとハモンドは示し合わせて嫌がらせを始めた。ラ フェラーリがEV走行機能を持たないことを知っていてモーターだけのドラッグレースをやろうと持ちかけ、ナンバーが付いていないことに気づきながらホテルまで公道で帰ろうと提案する。必ず2対1で排除の論理を発動する仕掛けになっているのだ。

自然素材からできたクルマで対決

現代のクルマ好きは環境問題について深い関心を持っていなければならない。でも、エコをテーマにした企画を行っている。エピソード4では、地球に優しいボディー構造を考えた。スチールやアルミを使うのは時代遅れで、自然素材を使ったクルマづくりをするべきだという主張である。ハモンドが選んだのは、草と木と花だ。フレームにはハシバミを使い、ボディー全体が美しい花で覆われる。水をやることで成長する夢のあるクルマだ。

クラークソンはもっと硬い素材を見つけた。動物の骨と皮である。もし壊れたら、牧場に行って新しいパーツを調達すればいい。もっとありふれた素材を選んだのがメイだ。彼のクルマは泥で作られている。供給源は無尽蔵と言っていい。弱点は剛性が弱いことで、出発直後にボディーが崩れてしまった。諦めないメイは泥を焼成してレンガを作り、頑丈な構造に作り変える。

ほかの2台も完璧とはいえない。草と木は衝撃に弱いし、骨と皮は時間が経つと腐敗する。うかつに路上駐車しておくと、お腹を減らした犬が寄ってきてパーツを持ち去ってしまう。それでもエコロジーのためにクルマを改良したいと考える3人は、自分たちの先見性を見せつけようと考えた。過去のクルマとサーキットで対決するのだ。相手となるのは、「フォルクスワーゲン・ゴルフ」「フォード・モンデオ」「BMW 523i」だ。環境問題への意欲的な取り組みは成功するのか、ぜひ番組を見て確かめてほしい。

ナミブ砂漠をビーチバギーで縦断

エピソード7とエピソード8では、いつもとは違った趣向のスペシャル企画を行っている。題して「ナミブ砂漠の旅」。アフリカ西岸のナミビアにある砂漠を、ビーチバギーで縦断する冒険旅行だ。それぞれに好みのバギーを仕上げて出発地点に集合する。パワー大好きクラークソンは、リアに無理やりV8エンジンを押し込んだ。メイはオリジナル重視で、1964年のモデルを忠実に復元している。大改造を施したのがハモンド。スペースフレームでシャシーを組み立て、ダンパーは2本使い。ハイグリップタイヤを履いた完全オフロード仕様である。

いつもの通り最初は悪口の言い合いを楽しんでいた3人だが、走っていくうちに表情が固くなる。砂漠は広大でいくら走っても道路は見つからない。急角度の砂丘を登るのは簡単ではなく、何度もスタックする。峰の向こうはいきなり谷になっていることもあり、下手をすると真っ逆さまに落下しかねない。本気でヤバい大自然を相手にしなければならないのだ。しかも、目的地は1000km以上先である。

海岸を走っていると満潮で波に飲まれそうになるし、アフリカなのに夜は寒くて凍えてしまう。南十字星を頼りに走っていると、ミスコースしてスタート地点に逆戻りだ。砂にまみれてクルマは故障し、自力で修理しなければならない。ガチで危険な旅なのだ。名のあるモータージャーナリストが、出川哲朗的な役割を果たさなければならない。

念のために言っておくと、バカな企画を喜々としてこなしている3人は、ちゃんとクルマの評価ができる人である。極端に振れすぎて自分の好みを主張しすぎるきらいはあるが、運転スキルもあるし、しっかりした評価軸を持っている。彼らが書いた試乗記を読むと、番組のキャラとは違った側面が見えるのだ。

エピソード1は「古代・現代・未来の
スーパーカー対決」

とはいえ、でも暴走トリオはやりたい放題だ。反省するどころか、行動はエスカレートしている。ではテントが世界中を移動したが、今回はイギリスのヨークシャーに固定される。美しい田園地帯だからと説明されるが、本当はクラークソンの家が近いことで選ばれたようだ。相変わらずわがままな性格である。

「セレブリティ・ブレインクラッシュ」は、「セレブリティ・フェイス・オフ」に模様替え。あまりにも多くの犠牲者を出してしまったことで、企画変更を余儀なくされたのだ。あるジャンルのセレブを呼び、サーキットのラップタイムで勝負を決する。第1回はオーディション番組の審査員。『ナイトライダー』のデビッド・ハッセルホフと、カイザー・チーフスのボーカルを務めるリッキー・ウィルソンが対決した。

エピソード1の企画は、「古代・現代・未来のスーパーカー対決」だ。古代のクルマというのは、「ランボルギーニ・アヴェンタドール」。6.5リッターV12エンジンをミドに搭載する古典的スーパーカーである。運転するのは、古代人キャラのクラークソンだ。 現代を代表するクルマは「ホンダNSX」。のテストで絶賛していたメイが運転する。未来のクルマは「リマック・コンセプト・ワン」。クロアチアの自動車会社が開発したEVで、1億円オーバーのスーパーカーだ。4輪に備えられたモーターが、それぞれ独立に制御される。最高出力は1224ps、最大トルクは1600Nmというとてつもないモンスターだ。0-100km/h加速はわずか2.5秒で、最高速度は355km/hに達する。 3台をスイスに持ち込み、アルプスのワインディングロードを駆けまわる。最初はハモンドの個人的事情で博物館めぐりをしていたが、せっかくのハイパフォーマンスカーを楽しめないことにクラークソンとメイが激怒。サーキットで勝負することになった。古代・現代・未来のうち、どのクルマが優れているのかを決定するのだ。ただ、未来担当のハモンドが少しばかり張り切りすぎた。放送開始が予定より遅れてしまった理由は、この収録にあったらしい……。 危険上等、無茶で過激なこと大好きな3人だから、これからも何が起きるかわからない。最後まで無事に放送できるか心配になるが、攻めの姿勢を貫くのがなのである。

(文=鈴木真人)

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