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後編:「ルーテシア ルノー・スポール」と「トゥインゴGT」で駆ける

サーキットでも、ストリートでも 2018.02.28 最新ルノー・スポールを愉しむ<PR> レース活動を通じて磨かれてきたルノー・スポールのスポーツマインド。そのノウハウはサーキットでも、そしてもちろんストリートでも光り輝く。同社が手がけた「ルーテシア ルノー・スポール トロフィー」と「トゥインゴGT」に試乗し、その実力を存分に堪能した。

ソリッドな中に味わいがある

ルーテシア ルノー・スポールに乗ると、そのクラスを超えた乗り味にいつも感心する。ノーマルモデルとは比べものにならないほど高い運動性能が与えられており、これがビシッと襟を正した乗り味を演出している。

今回紹介するトロフィーは、味付けを最もスポーティーな方向へ振った最高峰モデルだ。ルーテシア ルノー・スポールはグレードが「シャシースポール」「シャシーカップ」、そして「トロフィー」と3段階に分けられているのだが、その中で最もパワフルで強靱(きょうじん)な足腰を持っているのが、このトロフィーなのである。

エンジンは1.6リッターの直噴ターボ「M5M」ユニットが機軸となっており、最高出力は220ps/6050rpm、最大トルクは260Nm/2000rpmと、シャシースポールやシャシーカップに対して20psおよび20Nmも強力なものとなっている。またその足まわりもシャシーカップに対して車高がフロントで20mm、リアで10mm低められており、ショックアブソーバーの減衰力は40%も高められている。

これにオープンロードで乗った印象は、ひとことで言うと“ソリッド”。アクセルの踏み始めから立ち上がるターボのブースト圧の影響で加速は素早く、かつトルキーだ。6段EDC(エフィシエント・デュアル・クラッチ)は、変速を機械任せにすると小気味よくシフトアップしていくのだが、分厚い低中速トルクのおかげで、加速が途切れたり鈍ったりすることはない。

そしてその乗り心地も、固められた足まわりと18インチにもなるタイヤの剛性により、しなやかさというよりはソリッドさの方が支配的になる。もっともこの味付けは前述したエンジンの特性とマッチしているから、トロフィーの内に秘められたどう猛さに対して乗り手の気持ちを適度に引き締めてくれる意味合いもある。

それにしても、この絶妙にカドが丸められた乗り心地は、フロントストラットに仕込まれたHCC(ハイドロリック・コンプレッション・コントロール)ダンパーの影響によるものだろうか。HCCとはダンパーの底付きをセカンダリーダンパーで緩和させる機構。急激な大入力に対してもバンプラバーのような反発が出ず、最後まで適切な減衰力を発揮できるため、突起を乗り越えても車体が跳ねない。車高が低められているにもかかわらず、トロフィーのスプリングレートはシャシーカップと同等のようだから、やはりこの剛性感はダンパーによって得られたものなのだろう。

今回の試乗車は「ルーテシア ルノー・スポール」の中でもサーキットでの走りを重視して最もスポーティーに仕上げられた「トロフィー」グレード。車両価格は329万円。
今回の試乗車は「ルーテシア ルノー・スポール」の中でもサーキットでの走りを重視して最もスポーティーに仕上げられた「トロフィー」グレード。車両価格は329万円。拡大
「ルーテシア ルノー・スポール」は2017年7月に改良を受けており、エクステリアがリニューアルされている。
「ルーテシア ルノー・スポール」は2017年7月に改良を受けており、エクステリアがリニューアルされている。拡大
2017年7月の改良で、ヘッドランプはフルLEDとされた。またバンパー下部に、ポジションランプ/フォグランプ/ハイビーム/コーナリングランプとして機能する「R.S.ビジョン」が組み込まれた。
2017年7月の改良で、ヘッドランプはフルLEDとされた。またバンパー下部に、ポジションランプ/フォグランプ/ハイビーム/コーナリングランプとして機能する「R.S.ビジョン」が組み込まれた。拡大
足元は18インチのノワールアロイホイールとレッドブレーキキャリパーのコントラストが印象的。
足元は18インチのノワールアロイホイールとレッドブレーキキャリパーのコントラストが印象的。拡大
2017年7月の改良でスポーツシートのファブリック表皮も変更され、横方向のラインが強調されたデザインになった。
2017年7月の改良でスポーツシートのファブリック表皮も変更され、横方向のラインが強調されたデザインになった。拡大
フロントシートのヘッドレストには「R.S.」のシグネチャーが赤文字で刺しゅうされている。
フロントシートのヘッドレストには「R.S.」のシグネチャーが赤文字で刺しゅうされている。拡大

サーキットで本領発揮

そんなトロフィーが真骨頂を発揮するのはサーキット。ということで、今回はこれを富士スピードウェイに持ち込んでみたのだが、その考えは正しかった。

センターコンソールに「R.S.DRIVE」とだけ書かれた銀色のボタン。これを一押しするとエンジンのレスポンスが向上し、それに伴い変速スピードが、シャシースポールとシャシーカップの場合は0.17秒へ、試乗したトロフィーではさらに30%速められる。またパワーステアリングの手応えが増し、臨戦態勢に入ったことを告げられる。ただし車両安定装置(ESC)の作動はそのしきい値を上げながらも残っているから、ウオームアップにはもってこいだ。タイヤが滑って挙動を不安定にさせるような場面でも、ESCが横滑りをソフトに補正してくれるおかげで、今回は限りなく0度に近い気温の下でタイヤを痛めずに発熱させることができた。

態勢が整ったらボタンを長押しして、「レースモード」へと制御を変更。するとギアチェンジはさらに素早さを増し、ESCの制御も完全にカットされる。

よくデュアルクラッチ式ATに対して「フールプルーフでツマラナイ」という意見があるが、このEDCはひと味違う。ルノー・スポールもそこらへんのことはよくわかっているのだろう、エンジン回転計がレッドゾーンに入ってもレースモードでは自動でシフトアップせず、放っておくとエンジンはレブリミッターに当たりっぱなし(パンパンパンパン! というヤツだ)になるから、任意でシフトアップする必要がある。これは限界領域で勝手にシフトアップして、トルク抜けを起こしてしまうことも防いでくれる。

だから乗り手は前方と回転計の両方を見ながら、その時が来たらパドルを手前にクリックし、一手間かけてやる必要がある。ただしアクセルを踏みっぱなしにしながらシフトアップできる利点はスポーツATならではのものであり、そのときに“ヴァフッ!”と点火カットされるサウンドも、大いにやる気をかき立ててくれる。

一方、ブレーキングの時には、ダウン側のパドルを引きっぱなしにすると、必要なギアまで自動で落としてくれる。これはブレーキングからターンインというドライビングにおけるひとつめの山場で役立つ機構だ。

ステアリングコラムに取り付けられた大ぶりなパドルは操作しやすく、すべてが「走ること」に集中できるように設(しつら)えられている。ちなみに左足ブレーキも使えるが、着座位置の高さやシートポジションの関係から、あまりやりやすいとは思わなかった。その技術を駆使したいのであれば、スポーツシートを付けるなどしてポジションを見直してみるのもいいかもしれない。

昨今のトレンドとなったADAS(先進運転支援システム)や、アダプティブ・クルーズ・コントロールといった装備はないけれど、走るための先進性には抜かりなし。Bセグメントのハッチバックにこれだけの内容を盛り込んだルーテシア ルノー・スポールは、この点で本当にクラスを超えた先進性を持ったクルマだといえる。

富士スピードウェイのレーシングコースを行く「ルーテシア ルノー・スポール トロフィー」。
富士スピードウェイのレーシングコースを行く「ルーテシア ルノー・スポール トロフィー」。拡大
「トロフィー」に搭載される1.6リッター直4ターボユニットは、マッピングの変更、大型のターボと専用エキゾーストパイプの採用、および吸排気系をよりレーシーな仕様とすることで、220psと260Nmを生み出す。
「トロフィー」に搭載される1.6リッター直4ターボユニットは、マッピングの変更、大型のターボと専用エキゾーストパイプの採用、および吸排気系をよりレーシーな仕様とすることで、220psと260Nmを生み出す。拡大
インテリアカラーはスパルタンなブラック。各所にレッドのステッチやワンポイントが入り、“レーシー”な雰囲気を盛り上げている。
インテリアカラーはスパルタンなブラック。各所にレッドのステッチやワンポイントが入り、“レーシー”な雰囲気を盛り上げている。拡大
トランスミッションは6段のEDC(エフィシエント デュアル クラッチ)。
トランスミッションは6段のEDC(エフィシエント デュアル クラッチ)。拡大
センターコンソールに配置される「R.S.ドライブ」の切り替えスイッチ(銀色のボタン)。「ノーマル」「スポーツ」「レース」の3つの走行モードが用意される。
センターコンソールに配置される「R.S.ドライブ」の切り替えスイッチ(銀色のボタン)。「ノーマル」「スポーツ」「レース」の3つの走行モードが用意される。拡大
「ルーテシア ルノー・スポール」には「R.S.デフ」(電子制御デフ)が装着されている。左右の駆動輪(前輪)に大きな速度差が生じると、グリップを失いかけている方にマイクロブレーキを掛ける仕組み。
「ルーテシア ルノー・スポール」には「R.S.デフ」(電子制御デフ)が装着されている。左右の駆動輪(前輪)に大きな速度差が生じると、グリップを失いかけている方にマイクロブレーキを掛ける仕組み。拡大
レースモードを選択すると、シフトスピードが0.15秒まで短縮され、ESCは完全に解除される。
レースモードを選択すると、シフトスピードが0.15秒まで短縮され、ESCは完全に解除される。拡大

スポーツハッチの理想形

そして肝心なコーナリング時の挙動だが、これが実に考え抜かれたものだと感じた。車高を微妙な前傾姿勢としていることからもわかる通り、そのハンドリングは弱アンダーステアでよく曲がる。スイートスポットに入ると、リアの荷重を減らして絶妙にタイヤを滑らせながらターンインしていくこともできるくらいなのだが、それは兄貴分の「メガーヌ ルノー・スポール」ほど極端なものではないから、ビギナーにはちょうどよいオーバーステア感が味わえる。

そしてアクセルを踏み込めば、「R.S.デフ」と呼ばれる電子制御ディファレンシャルが内輪に微妙なブレーキを掛け、トラクション抜けを防いでくれる。もちろん無造作にアクセルを踏み込めばそのキャパシティーを簡単に超えてしまうが、機械式LSDを投入するコストやメンテナンス費用が省けるのはありがたい。もしここで味をしめたなら、本格的な方向へとステップアップしていけばよいのだ、と思える。

今回はそこまで試さなかったが、フロントタイヤが“グリップダウン”してしまうとアンダーステアが強くなり、そのニュートラル感は失われてしまう。そういう意味では走りに目覚めれば、LSDと同様に車高調整サスペンションを投入するのも手だ。ただし前述のHCCのうまみは残したいから、車高調キットを組み込むべきか迷ってしまう。リアスプリングにスペーサーを入れて車高だけさらに前傾姿勢にしたらよいかなぁ……などと、いろいろ考えていると、やっぱりこういうスポーツハッチはいいなぁ! と思ってしまった。

果たして、30分間のスポーツ走行を終えた後の道のりは、至って心地よいものだった。路面の入力に対し、ソリッドな乗り味でビシッとこれを受け止めるサスペンションも、あの高荷重領域でしなやかに伸縮する感触を思い出せば「これでいい」と思える。確かにダンパーに減衰力調整機構が備わっていれば街乗りもより快適にこなせるようになるだろうけれど、そこを節約して価格を抑えるのもルノーらしくていい。

冷めた目で見れば「サーキットに行くことなんて年に数回もないのだから、シャシースポールかシャシーカップが現実的」という見方もできるが、ルノー・ジャポンによれば売れ筋はトロフィーだという。つまりみんな、そうした可能性を抱えたまま愛車と付き合う方が、人生をホットに過ごせるとわかっているのだろう。

走りのベース車として、これだけ愉しいハッチバックはいま本当に少ない。そういう意味でルーテシア ルノー・スポール トロフィーは、素晴らしいホットハッチである。クルマを愛するドライバーにとって、最愛の存在となってくれるはずである。

富士スピードウェイのレフトハンダーを行く。ステアリングギア比は13.2。「シャシースポール」や「シャシーカップ」(いずれも14.5)と比べて約10%クイックになっている。
富士スピードウェイのレフトハンダーを行く。ステアリングギア比は13.2。「シャシースポール」や「シャシーカップ」(いずれも14.5)と比べて約10%クイックになっている。拡大
タコメーター(左)のレッドゾーンは6500rpmから。速度は中央にデジタル表示される。
タコメーター(左)のレッドゾーンは6500rpmから。速度は中央にデジタル表示される。拡大
ABペダルはアルミ製。表面にすべり止めが施されている。
ABペダルはアルミ製。表面にすべり止めが施されている。拡大
「R.S.ドライブ」で「スポーツ」または「レース」選択時に、スタンディングスタートで最大限の加速が得られるローンチコントロール機能を使用することができる。
「R.S.ドライブ」で「スポーツ」または「レース」選択時に、スタンディングスタートで最大限の加速が得られるローンチコントロール機能を使用することができる。拡大
ダッシュボードの助手席側に「RENAULT SPORT」のロゴが入る。
ダッシュボードの助手席側に「RENAULT SPORT」のロゴが入る。拡大
サイドプロテクションモールフィニッシャーの後端には「TROPHY」のロゴが輝く。
サイドプロテクションモールフィニッシャーの後端には「TROPHY」のロゴが輝く。拡大
ルノーのモータースポーツへの取り組みは、モータースポーツ活動を行う「ルノー・スポール レーシング」と、市販スポーツモデルの開発を行う「ルノー・スポール カーズ」の2部門が、密接に連携し合いながら行っている。
ルノーのモータースポーツへの取り組みは、モータースポーツ活動を行う「ルノー・スポール レーシング」と、市販スポーツモデルの開発を行う「ルノー・スポール カーズ」の2部門が、密接に連携し合いながら行っている。拡大

そこかしこにルノー・スポールのノウハウが光る

そしてルノー・スポールが手がけた、もう1台の小さな相棒についても紹介したい。その名はトゥインゴGT。車名にこそルノー・スポールの文字は入らないけれど、ルノー・スポールの入念なセッティングによって作り上げられた、トゥインゴのスポーティーモデルである。

まずトゥインゴGTで話題となるのは、標準車の90psから109psにまで高められた0.9リッター直列3気筒エンジンのパワー感だろう。実用シティーコミューターとしてトゥインゴを見たとき、筆者はノーマルの90psにそれほど不足を感じない。もちろん余裕十分なパワーとは言わないが、後軸直後にエンジンを搭載するRR(リアエンジン・リアドライブ)のトゥインゴは、少ないパワーでも高いトラクション性能を発揮することができる。むしろ運動性能の高さと室内空間の確保を狙って、ルノーは現代にあえてRRという古典的なレイアウトを復活させたのだ。

小排気量ながらターボの特性も快活だから、その加速に不満を覚えることはない。むしろ小さなボディーを懸命かつ元気に走らせる様子に「がんばれ! がんばれ!」と応援したくなる。もしこれが眠たい特性のエンジンだったら、途端につまらないものになっていただろう。

そんなトゥインゴに+19psを与えた乗り味は、まさに「GT」と呼べるものだった。このサイズとして考えれば特に軽量とはいえない1010kgの車両重量(6段EDCは1040kg)ゆえ、そこにロケット的な加速はない。しかし軽自動車と比べても240ccほど多い排気量と、2000rpmも回せば生み出される170Nmの最大トルク、そして前述したRRのトラクションが、それらに比べて一枚上手な厚みのあるスピードを約束してくれる。またその動力性能に対して、ボディーがしっかりしているのもいい。軽くはない車両重量もこの剛性感ゆえと考えれば納得できる。

ノーマルではやや“板っぽい”乗り心地も、じんわりと和らげられていた。高められた動力性能に対してだろう、その足まわりは前後ともに40%ほど剛性を高め、さらにスタビライザーもより太いものにされているというが、乗り心地は突き上げ感よりも穏やかさを増している。筆者は雨のなかでもこれを運転した経験を持つのだが、天候にかかわらず足まわりは突っ張ることなく、バンピーな路面でもロードホールディング性が本当にいい。

そのハンドリングはリニアリティーを増した。トゥインゴはフロントに最大の重量物であるエンジンを搭載しないため、ただでさえ操舵感はクイック。ノーマルではこれをあえて少しだけ鈍くさせて、急激な切れ込みを防いでいると思われるのだが、GTはその初期操舵レスポンスが解放されている。

しかしながら、これが過敏にまではならない。そしてこれこそが、ルノー・スポール仕込みのチューニングなのだと思う。ダンパーがロールを穏やかに制御し、ブッシュのつぶれ方やアライメントのセッティングがこれをうまくまとめるから、操作がシビアになりすぎない。結果としてノーマルより質感が高く、操作性も良くなった。

「トゥインゴGT」は、ルノー・スポールがエンジンとシャシーに専用チューニングを施したコンパクトスポーツモデル。試乗車(5段MT仕様)の車両価格は229万円。
「トゥインゴGT」は、ルノー・スポールがエンジンとシャシーに専用チューニングを施したコンパクトスポーツモデル。試乗車(5段MT仕様)の車両価格は229万円。拡大
リアエンジンであることを強調するサイドエアインテーク(左後ろホイールアーチの上部に位置)やクロームデュアルエキゾーストパイプ、ブラックリアディフューザーなどがエクステリアをスポーティーに彩る。
リアエンジンであることを強調するサイドエアインテーク(左後ろホイールアーチの上部に位置)やクロームデュアルエキゾーストパイプ、ブラックリアディフューザーなどがエクステリアをスポーティーに彩る。拡大
インテリアの配色にもオレンジが取り入れられており、エクステリアとの統一感が演出されている。
インテリアの配色にもオレンジが取り入れられており、エクステリアとの統一感が演出されている。拡大
トランスミッションは今回試した5段MTのほかに、6段EDCも設定されている。
トランスミッションは今回試した5段MTのほかに、6段EDCも設定されている。拡大
ヘッドレスト一体型シートの表皮は、レザー調素材とファブリックのコンビネーション。シートヒーターが標準で備わる。
ヘッドレスト一体型シートの表皮は、レザー調素材とファブリックのコンビネーション。シートヒーターが標準で備わる。拡大
0.9リッター直3ターボエンジンはラゲッジルームのフロアを取り外すと現れる。109psと170Nmを生み出す。
0.9リッター直3ターボエンジンはラゲッジルームのフロアを取り外すと現れる。109psと170Nmを生み出す。拡大
「トゥインゴGT」のデザイン上のトレードマークとなっている、ボディーサイドのエアインテーク。
「トゥインゴGT」のデザイン上のトレードマークとなっている、ボディーサイドのエアインテーク。拡大

RRの良さを上手に引き出す

だからトゥインゴGTは街中では乗り心地よく、高速巡航では高い直進安定性を発揮し、ワインディングでは面白いほどによく曲がって、なおかつスタビリティーがとても高い。もちろんそれはスーパースポーツのような乗り味ではなく、「この小さなボディーで」というエクスキューズが付くけれど、だからこそ、そうした良さがうれしいのである。一流レストランでフルコースのフレンチディナーを食べるというよりは、極上のハムやチーズ、新鮮なレタスをバゲットに挟んでほおばる感じと言おうか。

そしてそのバゲットをかみしめたときの味わいは、もう最高! だ。MTは5段しかなく、シフトゲートは間隔が大きい。タコメーターはないから、エンジンサウンドと各ギアのスピードを覚えてシフトアップしてやらないとリミッターにエンジンを打ち付けてしまう。けれどそうした不便を面倒みてやることが、とってもうれしい。そして通いなれたワインディングロードの、道路幅をいっぱいに使って走れば素晴らしく愉しい。

感心したのはESCの制御が緻密で丁寧なこと。この素直な旋回特性が織りなす気持ちよさにわれを忘れて走ってしまうドライバーがいることを予想していたかのように、ターンインでリアに慣性がついたような場面ではESCが働いて、絶妙に車両を安定させてくれる。アクセル開度をちょっと多めに絞ってしまうのはもったいないが、これに右足を追従させればトラクションを回復することもできるし、ドライバーのやる気をそがないギリギリのラインで制御しているのもルノー・スポールの良心であり、技術力の高さだ。

だからこれだけしっかり走れるとやっぱりホットなルノー・スポール仕様が欲しくなってしまうけれど、本質的な走りはRRの良さを上手に引き出しているし、シティーコミューターとしては存外に愉しい一台となっている。走りの愉しさを語らせれば、やっぱりルノー・スポールが世界一である。

まるでかわいい子犬のようなトゥインゴGTを一日タップリと走らせて、筆者はこれをウチまで連れて帰りたくなってしまった。自分もかなりの“好き者”だとは思うが、もし達人の域に達したら、これ一台ですべてをまかなってもいいな……と感じた。

クルマには洋服のような一面があり、何を選ぶかでその人の居住まいが表れる。だから現実的にはフォーマルなセダンなりSUVなりがあって、その傍らに、満面の笑みで出迎えてくれるトゥインゴGTを置いておくのが現実的だろう。しかし達人の域に達したら、あえてこれ一台ですべてをこなしてみたいのだ。酸いも甘いもかみ分けてたどりつく究極のシンプル。もしアナタが真のクルマ好きならば、乗るほどにトゥインゴGTの良さがわかってくるはずである。

(文=山田弘樹/写真=田村 弥)

全長3.6mという小さなボディーのおかげで、「トゥインゴGT」は街中でとても扱いやすい。前輪の切れ角が49度と大きいおかげで、最小回転半径は4.3mに抑えられている。
全長3.6mという小さなボディーのおかげで、「トゥインゴGT」は街中でとても扱いやすい。前輪の切れ角が49度と大きいおかげで、最小回転半径は4.3mに抑えられている。拡大
220km/hまで刻まれたスピードメーターが、メーターパネルをぐるりと囲む。
220km/hまで刻まれたスピードメーターが、メーターパネルをぐるりと囲む。拡大
ホイールは17インチ。コンセプトカーの「TWIN'RUN(トゥインラン)」に装着されていたものと同じデザインが採用されている。
ホイールは17インチ。コンセプトカーの「TWIN'RUN(トゥインラン)」に装着されていたものと同じデザインが採用されている。拡大
箱根のワインディングロードを行く「トゥインゴGT」。走行モードは「ノーマル」と「エコ」の2種類から選べる。
箱根のワインディングロードを行く「トゥインゴGT」。走行モードは「ノーマル」と「エコ」の2種類から選べる。拡大
リアシートにもホワイト/オレンジラインがあしらわれている。
リアシートにもホワイト/オレンジラインがあしらわれている。拡大
ボディーはコンパクトだが、その内側には高い実用性が実現されている。ラゲッジルームの容量も十分。後席は50:50でフォールディングできるほか、助手席の背もたれにも可倒機構が備わっている。
ボディーはコンパクトだが、その内側には高い実用性が実現されている。ラゲッジルームの容量も十分。後席は50:50でフォールディングできるほか、助手席の背もたれにも可倒機構が備わっている。拡大
試乗車のボディーカラーは「オランジュ ブレイズM」(オレンジ)。このほか、「グリ リュネールM」(グレー)が用意されている。
試乗車のボディーカラーは「オランジュ ブレイズM」(オレンジ)。このほか、「グリ リュネールM」(グレー)が用意されている。拡大
ルノー ルーテシア ルノー・スポール トロフィー
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車両データ

ルノー ルーテシア ルノー・スポール トロフィー

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4105×1750×1435mm
ホイールベース:2600mm
車重:1290kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:220ps(162kW)/6050rpm
最大トルク:260Nm(26.5kgm)/2000rpm
タイヤ:(前)205/40R18 86Y XL/(後)205/40R18 86Y XL(ミシュラン・パイロットスーパースポーツ)
燃費:--km/リッター
価格:329万円/テスト車=363万2360円
オプション装備:フロアマット(3万0240円)/ETC(1万2960円)/ナビゲーションシステム<アルパイン>(26万7840円)/エマージェンシーキット(3万1320円)

ルノー トゥインゴGT
ルノー トゥインゴGT拡大
 
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ルノー トゥインゴGT

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3630×1660×1545mm
ホイールベース:2490mm
車重:1010kg
駆動方式:RR
エンジン:0.9リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:5段MT
最高出力:109ps(80kW)/5750rpm
最大トルク:170Nm(17.3kgm)/2000rpm
タイヤ:(前)185/45R17 78H/(後)205/40R17 80H(ヨコハマ・ブルーアースA)
燃費:--km/リッター
価格:229万円/テスト車=262万3720円
オプション装備:フロアマット(1万9440円)/ETC(1万2960円)/ナビゲーションシステム<アルパイン>(27万円)/エマージェンシーキット(3万1320円)

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