まだ生き延びているかもしれない

ついでにもうひとつ、カシオ製スタンダードウオッチの功績を発見した。

初期のApple製「マッキントッシュ」は、いくらデザイン的にクリーンで優れていても、もはや実用には難がある。いっぽう古いカシオは、かなりの確率で実用に供し、楽しむことができる。エレクトロニクス界における初の快挙だ。

ああ、母に渡した例のカシオが今も手元にあったなら、“ヴィンテージもの”としてイカしたのに。実物がどのような末路をたどったかは、本人がもはやこの世の人ではないこともあり、今では知ることができない。

ただし、欧州におけるカシオブームは、英国で「子どもの頃になくした腕時計が20年後に庭で発見された」という話がネット投稿されたのがきっかけだった。

母のカシオも、もしやいまだにどこかで時を刻んでいるかと思うと、しばし空想に浸れるのである。

(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=藤沢 勝)

日本では簡易パッケージ入りの“つるし”で販売されていることが多いカシオだが、イタリアでは、ショーケースに賑々(にぎにぎ)しく収められていることがほとんどである。
日本では簡易パッケージ入りの“つるし”で販売されていることが多いカシオだが、イタリアでは、ショーケースに賑々(にぎにぎ)しく収められていることがほとんどである。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。、(ともに二玄社)、、(ともに光人社)、(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。

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