結局はドライバー次第

愛知県の名誉のために言っておくと、マナーが悪いといわれる地域はほかにもある。山梨県の道で信号待ちをしていると、信号が青になった途端にいきなり右折車が発進して驚かされることが多い。同様の現象は、愛媛県や長野県にもあるそうだ。ウインカーを出さない習慣は岡山県でも広まっている。2017年の交通事故死者数を見ると、山梨県が37人で39位、愛媛県が78人で19位、長野県が79人で17位、岡山県が97人で12位となっている。順位には人口やクルマの数が大きく影響するので、マナーの悪さがそのまま表れるわけではない。愛知県は自動車保有台数が全国最大の約527万台だから、それだけ多くなる傾向はあるのだ。

警察庁交通局の「人口10万人あたりの交通事故死者数」を見ると、ワースト(1位)は福井県の5.88人。愛媛県が2位、岡山県が4位だから、やはり交通ルールが守られていない、ということはあるのだろう。愛知県は2.66人で39位と健闘しているが、クルマで移動する機会が多いので交通事故が増えてしまう。一方、10万人あたりの交通事故死者数が最も少ないのが東京である。1.20人と断トツに少ないため、最大の人口を擁するにもかかわらず交通事故死者数の合計は3位なのだ。

日本全体の交通事故死者数が最も多かったのは、1970年の1万6765人。2017年は3694人なので、4分の1以下にまで減ったことになる。モータリゼーションの進行とともに交通事故が増えたが、自動車の安全装備が進化したことで死亡者を減らすことに成功した。シートベルトやエアバッグが普及し、ABSやESCが当たり前の装備になったことも大きい。1995年からはJNCAPが始まり、消費者の安全意識も高まっている。

もちろん、究極の目標は交通事故死者数ゼロである。失われた命は、統計の数字で語れるものではない。事故撲滅に向けて期待が高まっているのが、先進安全装備とその先にある自動運転だろう。しかし、ウーバーとテスラの自動運転車が死亡事故を起こし、まだまだ発展途上の技術であることがわかってしまった。遠い将来はともかく、今は交通ルールとマナーを守ることが、事故を起こさないために最も有効な方法である。

(文=鈴木真人/写真=Clubpyme/編集=関 顕也)

国内における2017年の交通事故死者数は3694人。最も多かった1970年からは1万3000人ほど減少しているが……。(※写真はイメージ)
国内における2017年の交通事故死者数は3694人。最も多かった1970年からは1万3000人ほど減少しているが……。(※写真はイメージ)拡大
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