未来に受け継がれる古典の味

かように稀有(けう)な来歴の持ち主であるモーガンは、時にその歴史を逆手にとって、最近では現代的なアレンジの「エアロ8」をデビューさせたり、3ホイーラーを復活させたりして、そのつど好事家たちの話題をさらってきた。とはいえ、職人が一台一台ハンドメイドでクルマを作り続けている以上、そのキャパシティーは限られている。年間の生産台数はわずか850台で、新しいバリエーションが登場すればほかのモデルの生産が減り、その分納車も遅れるらしい。

それでも、首を長くして納車を待つオーナーのリストは増え続けているという。その魅力は、現代の交通環境に合わせてブレーキなどは強化されながらも、基本設計が変わらないことから、ほぼ当時のままの乗り心地、走りを堪能できることにある。つまりは“やせ我慢の美学”ともいえるかもしれない。

近年では環境問題についても配慮しており、2016年のジュネーブショーでは3ホイーラーをベースとした電気自動車「EV3」を発表。2018年の生産開始に向けて開発を進めている。電動化の時代を迎えても、モーガンは基本設計を守りつつ、これからも職人の手で作り続けられるのだ。

(文=内田俊一/編集=堀田剛資)
 

「エアロ8」は2000年のジュネーブショーで発表された。
「エアロ8」は2000年のジュネーブショーで発表された。拡大
ハンドメイドにこだわるモーガンの生産台数は、年間わずか850台と非常に少ない。
ハンドメイドにこだわるモーガンの生産台数は、年間わずか850台と非常に少ない。拡大
電気自動車の「EV3」。
電気自動車の「EV3」。拡大
あなたにおすすめの記事
関連記事
  • モーガン・ロードスター(FR/6MT)【試乗記】 2019.3.8 試乗記 古式ゆかしき“クルマづくり”を今日も守り続ける英国のスポーツカーメーカー、モーガン。そのラインナップの中でも、3.7リッターV6エンジンを搭載したホットモデル「ロードスター」に試乗。富士山麓でのドライブを楽しみつつ、良き時代に思いをはせた。
  • モーガン4/4(FR/5MT)【試乗記】 2018.6.28 試乗記 1936年に誕生して以来、基本的な設計を変えずに現在も作り続けられている「モーガン4/4(フォーフォー)」。今なお職人の手作業によって製作される英国のスポーツカーには、80年前のクルマの息遣いが確かに宿っていた。
  • モーガン4/4 2018.5.23 画像・写真 1936年のデビュー以来、戦争による中断をはさんで今もなお造られ続ける「モーガン4/4」。トネリコのボディーフレームに“手叩き”のボンネットなど、職人の手によるクルマづくりを今日に伝えるクラシカルなスポーツカーの姿を紹介する。
  • ジャガーEペースR-DYNAMIC SE P250(4WD/9AT)【試乗記】 2019.3.9 試乗記 ジャガーのエントリーSUV「Eペース」に試乗。舞台として選ばれたのは冬の長野・白馬村。冬季オリンピックが開催されたこの地で、同車自慢の4WD性能を試すはずだったのだが……。前日の雨で路面から雪は消えていた。
  • BMW 330i Mスポーツ(FR/8AT)【試乗記】 2019.3.2 試乗記 BMWが誇るスポーツセダンのベンチマーク「3シリーズ」が、7代目にフルモデルチェンジ。ブランドの“伝統芸”ともいえるミズスマシ的ドライブフィールと、隔世の進化を遂げた強力なドライビングアシストに触れ、リポーターが感じたこととは?
ホームへ戻る