改良のポイントは4つ

マツダCX-3は2015年2月に発売されて以来、年に1度のペースで商品改良が行われてきた。事前の取材で、CX-3の開発責任者である冨山主査が“大幅改良”と話していたこともあって、期待に胸をふくらませて試乗会にのぞんだ。

改良のポイントは大きく分類すると、(1)乗り心地、静粛性の向上、(2)エンジンの進化、(3)デザインの進化、(4)安全性能の進化の4つだ。

4度目の商品改良で初めて手が加えられたのが、エクステリアデザインだ。フロントグリルは従来型では横桟が均等に7本走っていたが、二重になったラインが4本走るタイプに変更された。ボディー下端にはクロームのパーツが配され、ピラーガーニッシュなどには上級車種と同様のハイグロスブラックが用いられている。これまでのカジュアルな雰囲気から、より大人っぽく上質になった。

試乗用に用意されたモデルの内装はいずれもレザーを用いた「Lパッケージ」だった。シートには「CX-8」譲りの高減衰ウレタンを用いただけあって、お尻にしっかりとした張りを感じる。あらためて従来型に座ってみると、まるで底づきしそうな印象を受けるほどでその差は明らかだった。ダンパーやタイヤの改良だけでなく、シートも含めた乗り心地の改善対策というわけだ。

レザーステアリングもとても握り心地のいいものだ。レザーの質はもちろん、チルトとテレスコピックの両方を備えているのも、このクラスのクルマとしては大奮発だろう。いまのマツダ車すべてに共通するものとして、足をのばすとちょうどいい場所にペダルが配置されている。正しいドライビングポジションこそが、疲れ知らずの快適さと、ペダルの踏み間違えなどが起こりにくい安全性で、最終的に目的地まで早くたどり着ける運転につながるのだと、身をもって教えてくれる。

確かに感じられる快適性の改善

まずは、1.5リッターディーゼルに代わって採用された、新開発の1.8リッターディーゼルターボエンジンを搭載する「XD」に試乗した。静粛性の向上のためにアウターパネルやリアドアガラス、ヘッドライナーの板厚を増すなどした効果は絶大で、従来型ではよく聞こえてきたディーゼル音の車室内への侵入は最小限に抑え込まれている。以前は高速巡航するような場面で会話の声が聞きとりにくいこともあったが、エンジン音だけでなくロードノイズも合わせてうまくマスキングしていた。

一方で少し気になったのが、今回試乗した6段AT 仕様では1000-2000rpmあたりの低回転域でのアクセル追従性がいまいちで、微妙な速度調整が難しい領域があった。6段MT仕様であればまた印象は異なるかもしれないが、カタログ上は1600-2600rpmで最大トルク270Nmを発生することになっており、もう少しリニアな反応が欲しい。

従来型ではスポーティーにすぎる、硬いなどと評価されていた乗り心地は、ダンパーの大径化による応答性のアップや、サイド部の剛性を落としてクッション性を高め、トレッド面の剛性をあげてよじれを抑えた新開発のタイヤによって相当にしなやかになった。路面からの突き上げに対するあたりのやわらかさ、その後の振動抑制などの面も大きく改善されている。

次に試乗したのは、「SKYACTIV-G 2.0」ガソリンエンジンを搭載した「20S」の4WDだった。この2リッターガソリンエンジンは「CX-5」に採用したエッジカットピストンや新しいインジェクターによる燃料噴霧の進化などの新技術により、トルク向上と燃費改善を実現したものだ。アクセル操作に対するリニアさや静粛性の面では、ディーゼルよりもこちらのほうが秀でている。シフトレバー横にあるモード切り替えスイッチで“スポーツ”を選択すれば、アクセル操作に対するレスポンスが鋭くなり、より高回転でギアチェンジを行うようになる。頻繁に長距離移動するのであればディーゼルエンジンのメリットを享受できるだろうが、街乗りがメインであれば、車両価格的にもディーゼル比でおよそ30万円安いガソリン仕様を選んだほうがいいだろう。

まだ改善の余地はある

先進安全性能の面においては、ガソリン、ディーゼルともに一番下のグレード以外には、全車速追従機能付きACC(マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール)が標準装備になった。従来のものは30km/h以下では制御をやめてしまうため渋滞時には使えなかったが、これがあれば疲労軽減にもつながる。また全グレードに夜間の歩行者認識精度を向上させた「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート夜間歩行者検知機能付き」を標準装備したのも朗報だ。

試乗を終えて、冒頭に述べた1~4のすべての面での進化を体感することができた。特に静粛性、乗り心地の改善についてはこれまでで最も大きな進化を遂げている。そこがネックで購入をためらっていた人は、すぐにディーラーへ向かうべきだ。

しかし、それでもなお「もっとこうあってほしい」と思う部分があるのもまた事実だ。過去の改良で、CX-3はドライバーのハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを変化させ、横方向と前後方向の加速度を統合的にコントロールする、カメラでいう“手ブレ補正機能”のようなシステム「G-ベクタリングコントロール」を備えている。また、今回の改良でトーヨーの新設計のタイヤが装着された。その組み合わせのせいなのか、うまく言葉にできないのは書き手としては失格だが、少しチューニングがズレてしまったような部分があるのだ。静粛性や乗り心地の改善など、得たものはたくさんあるのと同時に、一体感のようなものは少し薄れてしまったように感じた。

ディーゼルエンジンの最上級グレードをのぞいて、すべてのモデルの車両価格が300万円以内におさまる、B~CセグメントのコンパクトSUVにあれもこれもと望むのは酷というものだろう。しかし、それでも改善に終わりはないのだと毎年改良を続け、そして確実に結果を出してきた。その飽くなき挑戦を続けるいまのマツダのエンジニア魂にまだ続きがあることを、期待せずにはいられないのだ。

(文=藤野太一/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)

テスト車のデータ

マツダCX-3 XD Lパッケージ

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4275×1765×1550mm
ホイールベース:2570mm
車重:1310kg
駆動方式:FF
エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:116ps(85kW)/4000rpm
最大トルク:270Nm(27.5kgm)/1600-2500rpm
タイヤ:(前)215/50R18 92V/(後)215/50R18 92V(トーヨー・プロクセスR52A)
燃費:20.2km/リッター(WLTCモード)、16.3km/リッター(市街地モード:WLTC-L)、20.2km/リッター(郊外モード:WLTC-M)、22.9km/リッター(高速道路モード:WLTC-H)
価格:283万6080円/テスト車=314万3880円
オプション装備:ボディーカラー<マシーングレープレミアムメタリック>(5万4000円)/BOSEサウンドシステム+7スピーカー(6万4800円)/CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー<フルセグ>(3万2400円)/360°ビュー・モニター+フロントパーキングセンサー<センター/コーナー>(4万3200円)/i-ELOOP(6万4800円)/ナビゲーション用SDカードPLUS<16GB>(4万8600円)

テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:1703km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター

マツダCX-3 20S Lパッケージ

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4275×1765×1550mm
ホイールベース:2570mm
車重:1350kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段AT
最高出力:150ps(110kW)/6000rpm
最大トルク:195Nm(19.9kgm)/2800rpm
タイヤ:(前)215/50R18 92V/(後)215/50R18 92V(トーヨー・プロクセスR52A)
燃費:15.2km/リッター(WLTCモード)、11.9km/リッター(市街地モード:WLTC-L)、15.9km/リッター(郊外モード:WLTC-M)、17.2km/リッター(高速道路モード:WLTC-H)
価格:279万2080円/テスト車=304万5880円
オプション装備:ボディーカラー<ソウルレッドクリスタルメタリック>(6万4800円)/BOSEサウンドシステム+7スピーカー(6万4800円)/CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー<フルセグ>(3万2400円)/360°ビュー・モニター+フロントパーキングセンサー<センター/コーナー>(4万3200円)/ナビゲーション用SDカードPLUS<16GB>(4万8600円)

テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:1698km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
 

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