どうにも気になる「X1」との距離感

ほった:明照寺さんも、常々「デザインのためのデザインはしたくない」と言っていますよね。同じBMWでも、X4とかX6ってまさにデザインのためのデザインじゃないですか。あれはどうなんですか?

明照寺:個人的にはやっぱり、本来ある空間をスタイルのためにスパーンって削ってしまうのは腑(ふ)に落ちないですね。まあ、あれらはもう本当にクーペ的なクルマを欲している人のための商品だと思いますから。多分ああいうモデルを買う人って、そのほかにもクルマをお持ちで、X4やX6については「2人乗り+α」として買うんでしょう。

永福:カッコを優先するのは全然いいんだけど、ルーフが落ちたクーペ的なSUVがカッコいいとは、私にはあまり思えない。むしろ「レンジローバー イヴォーク」みたいな四角いSUVのほうがスタイリッシュに見えるなぁ。

明照寺:僕もX6よりはX5を買いたいですね。でもそれは、自分のあんまり豊かじゃない暮らしの中での話なので(笑)、そこはまったく参考にならない。でもX2は、自分らに近い人たちがターゲットなので、そこをちゃんと考えてるのかなと感じます。

永福:なるほど。

明照寺:その一方で、じゃあ、X1とX2との距離感というか違いって、果たしてどこまであるのかなっていう疑問も湧きますね。

ほった:そうですね。オーナー像や使用シーンを想像しても、ぶっちゃけそんなに違いを感じない。機械式駐車場をよく使う人はX2で、ばかすか荷物を運ぶ人はX1というくらいにしか。あとはデザインの好みで、お好きなほうをどうぞ。という感じですかね。

明照寺:X1とX2の中間くらいのモデルが1つあれば、それで全部事足りるんじゃないか。私なんかは貧乏性なので、ついそう思ってしまいますね(笑)。われわれ作り手は、こういうモデルの企画が出てきたら、「もとのモデルからどれだけ離せるか」っていう風に考えるんですよ。でも、X1とX2は結構近いところに位置している。日本人固有の“もったいない精神”の持ち主としては、つい「どうせ造るんだったらとにかく変えてやろう!」みたいなことを考えてしまうんですけど。

(文=永福ランプ<清水草一>) 

BMWのモデルラインナップでは、車両の基本構造を共有するモデルでも、“偶数番号”と“奇数番号”ではクルマのデザインやキャラクターが大きく異なる。写真は「X6 M」(左)と「X5 M」(右)。
BMWのモデルラインナップでは、車両の基本構造を共有するモデルでも、“偶数番号”と“奇数番号”ではクルマのデザインやキャラクターが大きく異なる。写真は「X6 M」(左)と「X5 M」(右)。拡大
同じスペシャリティー感重視のSUVでも、ブランドによって造り方はまちまち。ランドローバーの「レンジローバー イヴォーク」は、“チョップドルーフ”と薄いガラスエリアでクーペっぽい雰囲気を出しつつ、スクエアなスタイリングは保っている。
同じスペシャリティー感重視のSUVでも、ブランドによって造り方はまちまち。ランドローバーの「レンジローバー イヴォーク」は、“チョップドルーフ”と薄いガラスエリアでクーペっぽい雰囲気を出しつつ、スクエアなスタイリングは保っている。拡大
同じコンパクトクラスの“BMW Xモデル”である「X1」(左上)と「X2」(右下)。「X3」と「X4」、「X5」と「X6」に見られるような大きな違いが感じられないのは事実だ。
同じコンパクトクラスの“BMW Xモデル”である「X1」(左上)と「X2」(右下)。「X3」と「X4」、「X5」と「X6」に見られるような大きな違いが感じられないのは事実だ。拡大
VDA方式による荷室容量は470リッターと、「X1」より35リッター少ない。この差を大きいと見るか小さいと見るか……。
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第11回:BMW X2(前編)の画像拡大
明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

さまざまな自動車のデザインにおいて辣腕を振るう、現役のカーデザイナー。理想のデザインのクルマは「ポルシェ911(901型)」。

永福ランプ(えいふく らんぷ)
大乗フェラーリ教の教祖にして、今日の自動車デザインに心を痛める憂国の士。その美を最も愛するクルマは「フェラーリ328」。

Clubpymeほった(うぇぶしーじー ほった)
当連載の茶々入れ&編集担当。デザインに関してはとんと疎いが、とりあえず憧れのクルマは「シェルビー・コブラ デイトナクーペ」。

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