メカニカルグリップが秀逸
新生アルピーヌA110に試乗した直後に、まず「トヨタMR-S」に、続いて「マツダ・ロードスター」に似ているとコメントした谷口信輝。MR-Sに似ているというのはミドシップゆえのフロントの軽快な反応を指してのこととわかったが、ロードスターに似ていると指摘した理由はなんだったのか? 谷口にもう少し具体的に説明してもらうことにしよう。
「前編でもお話ししたとおり、A110は車重が軽くて足がよく動くのに、タイヤがべたーって接地している感じが伝わってくる。つまり、メカニカルグリップがすごくいいんですよね。だから自在に操れて楽しい。その辺がロードスターに似ていると思いました」
「ただし、ロードスターよりはA110のほうがずっとパワフルですよね。ロードスターも、ひとりで乗っているときはいいんですが、もっとパワフルなスポーツカーと連れ立って出掛けると、ひとり取り残されて寂しい思いをしかねない……。その点、A110だったら速さも十分だから心配ありませんよね」
なるほど、そういうことか。ファンであればご存じのとおり、新しいA110は新生アルピーヌのスタッフとルノー・スポールのスタッフが協力して作り上げた共同開発品。もっとも、ルノー・スポールの最新作である「メガーヌR.S.」がスタビリティー優先でボディーの動きを最小限に抑え込んでいるのに対し、A110ではロールやピッチングといった動きを比較的はっきりと感じる。
このクルマ作りの違いを、谷口はどのように捉えているのだろうか?
「確かにクルマの仕上がりは大きく異なっていますが、同じエンジニア、同じテストドライバーが開発に関わっていたことはなんとなくわかりますよね。ただし、A110は重量物がリアに乗っているから、こういう味付けになったんだと思います。つまり、ターンインでまずフロントをイン側に入れたら、今度は慣性モーメントの動きがリア側に出てくる。その辺の動きを、A110はうまくまとめ上げていますね。でも、クルマの動き自体に高級感はあまり感じられないんですよね……」
【アルピーヌA110ピュアのスペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4205×1800×1250mm/ホイールベース:2420mm/車重:1110kg/駆動方式:MR/エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ/トランスミッション:7段AT/最高出力:252ps(185kW)/6000rpm/最大トルク:320Nm(32.6kgm)/2000rpm/タイヤ:(前)205/40ZR18 86Y/(後ろ)235/40ZR18 95Y(ミシュラン・パイロットスポーツ4)/燃費:14.1km/リッター(JC08モード)/取材時の燃費データ:9.2リッター/100km(約10.9km/リッター、車載燃費計計測値)/価格:811万円
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