マイナーチェンジでワゴンイメージを前面に

先日、マイナーチェンジモデルが発売された「ホンダ・ジェイド」。詳細はこちらをお読みいただきたいのだが、改良の要点は、2列目に3人掛けのシートを採用して3列目を廃した5人乗り仕様を用意したことと、スポーティーグレードである「RS」の走行性能を高めたこと、さらにはそのスポーティーグレードをハイブリッド車にも用意したことだ。

従来の3列シートタイプも残されてはいるが、今回の改良ではミニバンとしての使い勝手の向上についてはまったく言及されていない。ジェイドは長めのボディーに2列シートと広めの荷室を備えた、走りのいいステーションワゴンというイメージで出直すこととなった。

テレビCMの内容も、女性がラゲッジルームにトートバッグを縦に収納して広さをアピールし、その後はワインディングロードをさっそうと駆け抜けるというもの。ファミリー層へのアピールはゼロで、ホンダの資料にもジェイドのターゲットは30~40代の既婚男女(子どもなし)と書いてある。

マイナーチェンジにより、スポーティーなワゴンというイメージを付与された「ホンダ・ジェイド」。
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市場縮小が拍車をかけた!?

市場縮小が拍車をかけた!?

ジェイドが3列シートミニバンからステーションワゴンへと生まれ変わろうとする背景のひとつに、「ヒンジドアミニバン」というジャンルが縮小していることがあるという。ライバルとしてトヨタの「ウィッシュ」やスバルの「エクシーガ クロスオーバー7」などがいたのだが、どちらもすでに市場を去っている。

ホンダによれば、2015年に5万台ほどあったヒンジドアミニバン全体の販売台数は、2016年には4万台ほど、2017年には3万台ほどという推移で縮小しており、今後も劇的な回復は見込めないそうだ。

ジェイドがデビューしたのは2015年の2月なので、まさに間の悪い時期だったというほかないが、その販売台数は2015年が約1万2000台、2016年が約6500台、2017年が約2000台なので、市場の縮小だけを言い訳にすることはできないだろう。

あらためて記すまでもないが、ジェイドの不人気の原因は2+2+2の3列シートにあった。2列目が余裕をもって過ごせるキャプテンシートというのはいいのだが、3列目は完全なチャイルドサイズで、荷室の容量はわずか90リッター。3列目を倒して荷室を広げると、今度は4人しか乗れないクルマになってしまう。結果として誰にとっても中途半端なクルマとなっていたのだった。

2列シート5人乗りモデルの室内の様子。3列目シートを廃したことで、荷室の容量は440リッターに拡大している。
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より大きな市場で生き残りを模索

より大きな市場で生き残りを模索

そこでホンダは、思い切ってパッケージングを変更したモデルを追加することで、小さくなったパイの中で存在感を高めるのではなく、より大きなパイの中でジェイドを生かす道を選んだ。それがステーションワゴン市場である。ホンダによれば、こちらの市場規模は年間で約8.1万台。ホンダが現在、他に主だったワゴンタイプをラインナップしていないのも都合がいい。

ホンダの資料には競合車A、Bとしか記されていないが、Aについては「ハイブリッドがない」と書いてあるので「スバル・レヴォーグ」、Bは「スポーティーな走りは楽しめない」とあるので、「トヨタ・カローラフィールダー」あたりを、それぞれライバルに見据えたのではないかと思われる。

2017年の販売台数を見れば、レヴォーグが約2万3000台、カローラフィールダーが約4万5000台なので、目指すところは間違っていないと思う。ただ、ホンダの思惑通りにライバル車と比較してもらえればいいが、スポーティーさをレヴォーグと、ハイブリッド車としての性能(燃費とか)をカローラフィールダーとそれぞれ比較されてしまうと分が悪いという感じもする。

とはいえ、マイナーチェンジと同時に発表された月間販売目標台数はわずか500台……。新車デビュー時は3000台が目標だったことを思えば、実につつましやかな数字である。フロントマスクが新しくなったり、ブラックルーフ仕様が用意されたりと、新しいジェイドがかっこよくなっているのは確かなので、500台くらいは楽にクリアしてほしい。

(文=mobileCG 藤沢)

1/3 : マイナーチェンジにより、スポーティーなワゴンというイメージを付与された「ホンダ・ジェイド」。
2/3 : 2列シート5人乗りモデルの室内の様子。3列目シートを廃したことで、荷室の容量は440リッターに拡大している。
3/3 : 今回のマイナーチェンジでは、ガソリン車に新たなエントリーグレード「G Honda SENSING」を追加設定することで、入り口価格(239万8680円)も下げられている。